旧大型免許の定義は・・・
車両総重量8t以上、最大積載量5t以上、乗車定員11人以上でした。
それに満たない車両は旧普通免許(現在の8t限定中型免許)で運転可能です。
トラクタ(ヘッド)の乗車定員は2~3人ですから、乗車定員は問題ありません。
よって車両総重量と最大積載量で大型免許が必要か否かが決まります。
(旧)普通免許でOKという人の言い分は・・・
一般的なトラクタの車両重量は7t前後で、(トラクタには荷台が無いので)トレーラーを切り離すと積載量がゼロになるので、総重量8t未満に収まる・・という理屈のようです。
この「積載量がゼロになる」というのが勝手な思い込みなのです。
確かにトラクタには荷台はありませんが、連結装置の部分(カプラという)に『第5輪荷重』というものが設定されています。この第5輪荷重がトラクタの最大積載量に該当します。その数値は一般的なトラクタで 9~10t くらいです。この数値だけで大型免許のカテゴリとなります。
トラクタの車両総重量は 『車両重量+乗車定員重量(1人55kg換算)+第5輪荷重』です。
車両総重量は走行時の重量というわけではありません。トラックが空荷でも最大積載量が車両総重量に含まれるのと同じです。トラクタの場合はカプラが荷台に相当します。
車検証を見れは分かりますが、車両総重量は 17t 前後になります。
車検証が「連結時総重量」となっている場合は 30t とか 50t のような数値になります。
■大型セミトラクタ (要 大型免許)
Mitsubishi FUSO Super Great
全長:5595mm、全幅:2490mm、高:3085mm
乗車定員:2人、第5輪荷重:9500kg車両重量:7300kg、車両総重量:16910kg後輪が1軸の一般的なトラクタで、海上コンテナ等の輸送に使用されています。
第5輪荷重と車両総重量が大型免許の範囲になります。
■大型セミトラクタ 重量物運搬用 (要 大型免許)
HINO PROFIA
全長:6715mm、全幅:2490mm、高:3465mm
乗車定員:2人、第5輪荷重:18000kg
車両重量:9130kg、車両総重量:27240kg後輪が2軸の重量物用のトラクタです。
このタイプは車両重量自体で8tを超えます。車両総重量は27t にもなりますので、当然大型免許が必要です。
■中型セミトラクタ (要 中型免許)
NISSAN DIESEL CONDOR LX
全長:5255mm、全幅:2395mm、高:2455mm
乗車定員:2人、第5輪荷重:6100kg車両重量:3470kg、車両総重量:9680kg 4t車ベースの中型トラクタです。最近は殆ど需要がありません。
自動車学校や免許試験場の牽引試験車両のヘッドがこのクラスです。
第5輪荷重と車両総重量が中型(特定中型)免許の範囲になりますので、8t限定中型免許では運転することができません。限定解除すれば可能になります。
数年前まで第5輪荷重が4t程度で車両総重量が8t未満に収まるトラクタも発売されていました。まだ現役で走っているとすれば「8t限定中型免許」で運転できるトラクタも存在することになります。
多分、このような中型トラクタは受注生産になると思います。要望に応じて第5輪荷重を減らして、旧普通免許仕様にすることも可能かもしれません。それに750kg以下のトレーラーを連結すれば、旧普通免許で牽引免許も不要なトレーラーもあり得ることになります。
このように、現行のトラクタトラックで「8t限定中型免許」で運転できるものはありません。
カプラを取り外せば運転可能と主張する者もおります。
カプラを外せば第5輪荷重が無くなり、総重量8t未満に収まるという理屈です。
ただ、外しただけではダメで、乗用車等に用途変更して車検を取り直さなければなりません。カプラだって簡単に外せるものでもないので、整備工場で外さなければなりません。理屈の上では可能でも現実的ではないと思います。それに用途変更が認められるかどうかも実例を知りませんので不明です。
「旧普通免許で運転できる」 と主張する人は、第5輪荷重というものを知らずに憶測で「できる」といっている人と、カプラを外して改造や用途変更すれば可能という二通りがあるようです。前者は完全な間違い、後者は間違いとはいえませんが、どちらも回答としては不適当です。
質問者はトレーラーを切り離しただけの状態で旧普通免許で運転できるか? ということを質問しているわけで、改造して可能にする方法を尋ねているわけではありません。
あと、ネット上ではカプラにカバーを付ければOKとか言う人もいるようです。
これについては法的根拠が不明です。カバーを付けたら車検証の内容が自動的に変わる(第5輪荷重が消滅)なんて有り得ないと思いますけど・・。
以前にヘッドだけでも連結装置があれば牽引免許が いる とか いらない・・なんて議論もあったようです。その頃に、念のためカバーを付けておけば牽引しないという意思表示になる・・とかいう意見があったようで、それが拡大解釈されたものではないかと思います。現在はカバーの有る無しは関係なくヘッドだけなら、牽引免許不要で間違いありません。
警察に問い合わせても、警察官自体がよく解かっていなかったり、曖昧な回答しかできないことがよくあります。実は以前に臨時で運送会社に勤めたことがあって、運転手仲間でこのことが話題になって、運行管理者が何度か警察に問い合わせしました(運行管理者は大型が要ると言ってたが根拠に自信がなかったから・・)。すると複数の警官か職員があーだこーだ言ってて、「総重量が8t未満ならできるんじゃないですか?」 という者と 「あれって大板ナンバーだからダメだと思いますけど」・・という二通りに分かれました。総重量に第5輪荷重がそのまま算入されるのか、あるいは(外さないで)算入しない方法でもあるのかが知りたかったわけですが・・。結局よくわかりませんでした。
警察が言うように、トラクタには大板ナンバーが付いてますよね。考えてみれば、小板ナンバーで大型免許が必要な車両はありますが、大板ナンバーで普通免許でOKという車両は無いわけです。
あと、仮ナンバーで新車の陸送をやっている場合は別です。
それは、まだ荷台が付いてなくて最大積載量が決まってませんので、車両重量がそのまま総重量になり、旧普通免許で運転できる場合があります。トラックも同様で、シャーシのみで走っているのを見かけることがありますよね。その後、架装工場で荷台や装備を取り付けて最大積載量が決定されます。
そんな工場間の新車陸送という例を出して、普通免許で運転可能といったところで一般の人には関係のない話ですよね。
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